AIで効率化してもITフリーランスの月額単価は動かない。9割超が横ばい以上・上がったのは4.7%

フリーランスエンジニア向けIT案件・求人検索サイトのフリーランスジョブ( https://freelance-job.com/ )を運営する株式会社Hajimari(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:木村直人)は、本業としてIT案件を受注するフリーランス255名を対象に「AI時代のITフリーランス『効率化と報酬のギャップ』調査」を実施しました。
AIで作業は確かに速くなった一方で、その効率化は報酬に反映されているのか。結果からは、効率化は進んでいるのに月額単価はほとんど動いていないという実態が見えてきました。

※本記事の「単価」は、回答者が申告した案件ごとの月額単価(1か月あたりの契約金額)を指します。案件によっては、稼働時間に応じた精算幅が設定される場合があります。

調査サマリ

  • AIで「仕事が速くなった」ITフリーランスは 63.7%(AI利用者ベース)。だが月額単価が上がったのは 4.7%
  • 直近1年で月額単価が下がった人は 8.6%。9割超(91.4%)が「横ばい以上」を保っている
  • AIを理由に値下げ・据え置きを求められた経験は 10.2% にとどまる
  • 単価を上げる打ち手は「特にない・わからない」が最多の 31.0%
  • 月額単価が高いのは「AIを作る側」。使う側との差は月 約24万円(参考値)

≪アンケート利用条件≫

  1. 調査結果は自由にご活用ください。但し情報の引用元として「フリーランスジョブ」の名前を明記してください。
  2. ウェブサイトで使用する場合は、引用元として、下記リンクを設置してください。
    URL:https://freelance-job.com/contents/news/research/3067

業務におけるAIの活用頻度

AIの業務での活用頻度を聞いたところ、「ほとんど使っていない」が120人、「業務効率化に使っている」が120人。一方で、AIを組み込んだ開発を手がける人は8人、AIモデルやエージェントそのものを設計・開発する人は7人と、合わせて15人にとどまりました。

本記事ではこの15人を、AIを「作る側」として扱います。

AIで仕事が減る不安を感じる人は39.6%

生成AIの進化が話題になるたびに、「エンジニアの仕事はAIに置き換えられる」「単純な開発は淘汰される」といった声が聞かれます。本調査でも、AIによって自分の案件や仕事が減ることに不安を感じる人は101人(39.6%)にのぼりました。内訳は「強く感じる」が22人(8.6%)、「やや感じる」が79人(31.0%)で、4割近くが程度の差こそあれ将来に不安を抱えていることになります。

自由記述にも、危機感を率直に語る声が寄せられました。

「AIが台頭したことによる受注件数はここ数年で激減しており、AIに仕事を取られていることを実感しています」(50代/AIを業務で使っていない)
「AIによって仕事が取って代わられる時代がすぐそこまで来ているような気がする。将来には不安しかない」(60代/AIを業務で使っていない)

こうした声を見ると、「AIがフリーランスから仕事も収入も奪う」という構図は、すでに現実になりつつあるようにも思えます。では、実際の報酬はどう動いているのでしょうか。

だが月額単価が下がったのは8.6%/9割超が維持

実際の報酬の動きを見ると、直近1年で月額単価が「下がった」と答えた人は22人(8.6%)にとどまりました。「横ばい」が221人(86.7%)、「上がった」が12人(4.7%)で、合わせて233人(91.4%)が月額単価を維持以上に保っています。

上のグラフは全体(255人)での割合ですが、不安を感じている101人だけを取り出しても、実際に月額単価が下がったのは13人(12.9%)で、残る88人(87.1%)は下がっていません。不安の大きさと、実際に起きていることの間には、はっきりとした開きがあることが読み取れます。

「AIを理由に買い叩かれているのでは」という懸念についても、データは異なる姿を示しています。AIで作業が速く終わることを理由に、値下げや据え置きを求められた経験がある人は26人(10.2%)にとどまり、211人(82.7%)は「そうした経験はない」と回答しました。

現場の実感としても、AIが単価を左右しているという声はむしろ少数派です。

「AIを使うことで仕事の単価が上がるとは思っていない。仕事の効率化はできている」(50代/AIを使う側)
「主業務はあくまでAIは補完ツールの位置づけのため、AI利用で単価や働き方が大きく変わることはない」(50代/AIを使う側)

月額単価が下がった割合は、AIを使っていない層でやや高い

月額単価が「下がった」と答えた人の割合をAIの活用状況別に見ると、AIを使っていない人が14人(11.7%)、AIを使う側が8人(6.7%)、AIを組み込んだ開発などを手がける「作る側」は0人(0%)でした(作る側は回答者15名のため参考値)。

「AIに奪われる」という言葉のイメージとは逆に、月額単価が下がった人の割合は、AIを使っていない層のほうがやや高い結果でした。ただし、いずれの層も下がった人数は少なく、この差は誤差の範囲にとどまる可能性があります。
少なくとも、AIを取り入れている層で単価の下落が目立つという傾向は見られませんでした。

AIを使う人の63.7%が「作業が速くなった」

では、AIは現場に何をもたらしているのでしょうか。効率の面では、はっきりとした変化が起きています。AIを業務で使っている135人のうち86人(63.7%)が「作業スピードやこなせる仕事量が増えた」と回答しました。内訳は「大きく増えた」が18人(13.3%)、「やや増えた」が68人(50.4%)です。AIを使う人の3人に2人が効率化を実感していることになります。

「AI利用での時短で時間的余裕が生まれて、時給換算だと上がってる」(50代/AIを使う側)

一方で「変わらない」も38人(28.1%)、「減った」も11人(8.1%)おり、全員が恩恵を得ているわけではありません。ここで一つの疑問が浮かびます。仕事がこれだけ速くなったのなら、その分は報酬に反映されているのでしょうか。

速くなっても、月額単価はほとんど上がっていない

答えは「反映されていない」でした。月額単価が上がった人は全体で12人(4.7%)にすぎません。横ばいが221人(86.7%)を占め、効率化しても報酬はほとんど動いていないのが実態です。

「AIを使えば単価や収入が上がる」と、AIを使い始める前に期待していた人は70人(27.5%)いました。その中でも、実際に月額単価が上がったのは5人(7.1%)どまりです。効率化は起きているのに、報酬はそれに連動していない。ここに、ねじれがあります。

「作業効率には貢献しているが、単価や案件受注には貢献していない」(40代/AIを使う側)
「作業効率が上がったが単価には影響していない。余剰の時間が生まれることで他の作業ができたり、学習時間に充てられるようになったのはプラスだと思う」(40代/AIを使う側)

なぜ、下がりも上がりもしないのか?

理由のひとつは、単価が作業の速さではなく、担う役割や求められるスキルに対して決まることにあります。

同じ役割を続けている限り、AIで作業が速くなっても、契約単価が自動的に上がるわけではありません。一方で、作業が速くなった分がそのまま報酬の減少につながるわけでもありません。

案件の多くは、作業量ではなく担当する業務や稼働に対して結ばれており、効率化で生まれた余力は、同じ契約のなかで別の業務や品質の作り込みなどに充てられていると考えられます。 

また、発注側がまだAIを価格に織り込んでいないことも理由として想定されます。値下げや据え置きを求められた経験が26人(10.2%)にとどまるのは、多くのクライアントが以前と同じ感覚で価格を決めていることの表れとも言えます。

「クライアントが、AIについて意識していないので、現状は大きな影響は無い」(50代/AIを業務で使っていない)

ただしこれは、いつまでも続く前提ではありません。AIを使う人の63.7%が効率化を実感している以上、それが当たり前のスキルになれば、価格の見直しが始まる可能性はあります。

月額単価が高いのは「AIを作る側」

AIの活用状況ごとに推定平均月額単価を見ると、AIを使っていない人が45.7万円、業務効率化にAIを使っている人が54.0万円、AIを組み込んだ開発などを手がける「作る側」が78.0万円でした(作る側は回答者15名のため参考値。各単価帯の代表値をもとにした推計値です)。

「AIを使いこなせる人とそうでない人で単価の差が広がっている」と感じるかをたずねた設問でも、差を実感しているのはAIを使っている人ほど多く、AIを使う側では48人(40.0%)がそう答えています。

自由記述でも、単価が動く場所についての示唆がありました。

「ただ学んで他人に使われる人より、新しいものを最初に作って、他人を使う人の単価が上がるのだろうと思います」(50代/AIを使う側)
「超上流がもっと高くなり、中間、下層は消えていく」(40代/AIを使う側)

単価を上げる打ち手は「わからない」が31.0%で最多

今後、単価を上げるために最も有効だと思う打ち手をたずねたところ、最も多かった回答は「特に有効な打ち手はない・わからない」で79人(31.0%)でした。AIを使っていない層に絞ると54人(45.0%)にのぼり、多くの人が次の一手を決めかねている様子がうかがえます。

その一方で、上位の単価帯やAIを作る側に多かったのは、AIを速く使うことではなく、「AIを組み込む開発スキルの習得」や「上流工程・要件定義・コンサルティング力」、「特定業界の専門性」といった打ち手でした。

「ただ使うだけなら誰にもできますが、自分の経験をどうAIに落とし込めるかです」(40代/AIを作る側)
「AIの生成した成果物に対する評価・判定が行えるスキルが必要になると思う」(60代/AIを業務で使っていない)

まとめ

本調査で見えたのは、「AIに仕事も収入も奪われる」という不安の一方で、少なくとも月額単価の面では大きな下落が起きていないことです。月額単価が下がった人は22人(8.6%)にとどまりました。

ただし、データの解釈には注意も必要です。今回の回答は現役で活動を続けているフリーランスによるものです。仮にAIの影響で案件を失い、引退や転業をした人がいれば、その分は今回の月額単価には映りません。あくまで「活動を続けている層では、単価の下落は限定的だった」という解釈が妥当です。

また、作業が速くなったことが、そのまま単価の増減に直結するわけではありません。効率化で生まれた余力は、多くの場合その契約のなかで別の業務や品質の向上に充てられているためです。

そのうえで見えてくるのは、月額単価が高いのは「AIを速くこなせること」ではなく、「AIを前提に設計できること」「AIが出した成果物を評価できること」だという傾向です。フリーランスジョブでは、AIを組み込んだ開発をはじめ、高単価な案件も扱っています。次の一歩を探すフリーランスにとって、選択肢の一つとして活用いただけます。

≪アンケート利用条件≫

  1. 調査結果は自由にご活用ください。但し情報の引用元として「フリーランスジョブ」の名前を明記してください。
  2. ウェブサイトで使用する場合は、引用元として、下記リンクを設置してください。
    URL:https://freelance-job.com/contents/news/research/3067

■調査概要

調査概要:AI時代のITフリーランス「効率化と報酬のギャップ」調査
調査方法:インターネット調査(QIQUMOを利用)
調査時期:2026年6月
有効回答:本業としてIT案件を受注するフリーランス255名(30代19名/40代67名/50代110名/60代59名)
※本文中の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります
※「推定平均月額単価」は、各単価帯の代表値(40万円未満=30万円、40〜60万円未満=50万円、以下同様)をもとに算出した推計値であり、実額の平均ではありません