前年比1.5倍、エンジニアのAI活用率が拡大。業務への浸透が進む中、現場の意見無視の企業のAI方針に疑問の声も【エンジニア継続調査】同一設問で2024年と比較した継続調査から、AI浸透の実態が明らかに

株式会社Hajimari(本社:東京都渋谷区、代表取締役:木村直人)の運営する、フリーランスと企業のマッチングサービス「ITプロパートナーズ」は、ITエンジニア222名に対し、生成AIの活用に関する意識調査を実施いたしました。

本調査では、昨年当社にて実施した同様の調査結果との比較から、生成AIの活用率が1年間で約1.5倍になったことが判明するなど、生成AIに対するエンジニアの向き合い方の変化が明らかになりました。

調査サマリ

  • 生成AIの活用率、1年間で約1.5倍
  • 業務時間の短縮などでAI活用の効果を実感する層が増加
  • 利用ツールは「ChatGPTの実質的な寡占状態
  • 個人での活用進むも、会社のサポート・教育体制に不満あり

≪アンケート利用条件≫

1 調査結果は自由にご活用ください。但し情報の引用元として「ITプロパートナーズ」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、引用元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://freelance-job.com/contents/news/research/577

開発業務におけるAI活用、2024年と比較して一気に進展

2025年、開発業務でAIを「活用している」と回答した割合が42.8%と、前年(2024年)の29.3%から約1.5倍に増加しました。
一方で「活用する気は今のところない」と答えた層は41.0%から28.8%と12.2ポイントも減少しており、開発現場におけるAI活用が当たり前になりつつある様子を示唆しています。

生成AIの活用領域「コード生成」から「企画・資料作成」へと拡大

生成AIの活用場面については、2024年は「コード生成・開発補助」や「データ解析」といったエンジニアリング中心の活用が目立った一方、2025年には「企画書やドキュメント作成」「リサーチ」「要件定義」など、より上流工程へ拡大しています。

特に「データ分析・可視化(16.7%)」「ドキュメンテーション(13.0%)」が上位に入り、テキスト生成や構成支援といった分野でのAI活用が定着しつつあることがわかります。

一方、「コーディング(12.7%)」は依然として主要な用途であり、生成AIが“チーム全体の生産性を底上げするパートナー”に進化している傾向が見られました。

全体として、開発現場での生成AI利用は専門職だけでなく、プロジェクトマネジメントや資料作成など職種横断的な活用フェーズへと移行しているといえるでしょう。

成果物のAI活用割合が拡大、9割以上使用する人も約16%

業務におけるAIの活用割合については「仕事の成果物のうち、ほぼ全て(9割以上)でAIを活用している」と回答した人が15.8%%に達し、前年の4.5%%から約3.5倍に増加しました。

一方で「ごくわずか(1割以下)」と回答した層は15.9%から1.1%へと14.8ポイントの大幅減少。

これにより、生成AIが一部の実験的なツールから、日常的な成果物づくりに組み込まれる実務ツールへと進化したことが見て取れます。

業務時間の短縮効果を実感する層も増加

生成AI活用によって「業務時間が劇的に短縮された」と回答した割合は、2024年の10.2%から17.9%へ上昇。生成AI活用が生産性向上の実感を伴う段階に達していることがわかります。

一方、「ほとんど変化がない」と回答した割合は2024年の3,4%→2025年の1.1%と減少しました。

効果実感層が増加し、「成果を出せるAI活用」へシフト

また効果実感に関しては、「期待以上の効果を感じている」と回答した割合が2024年の34.0%から2025年には37.9%へ3.9ポイント上昇しています。
「期待通りの効果を感じている」との回答も55.8%と高水準を維持しており、全体の7割以上が一定の成果を実感していることが明らかになりました。

これらの結果から、生成AIが単なる実験的なツールから、生産性向上や品質改善といった明確な成果/効果実感をもたらす実用フェーズに移行したことがうかがえます。
特に、前年よりも「効果を感じない」という回答が減少しており、AI導入の成功事例やノウハウが業界全体で蓄積されていることが示唆されました。

「ChatGPT寡占」+「専門特化AI」=マルチ活用構造の定着

2025年の調査では、ChatGPT(OpenAI)が37.4%と他ツールを大きく引き離し、生成AI市場における“実質的な寡占状態”が続いていることが明らかになりました。
一方で、Gemini(Google)(19.2%)やGitHub Copilot(8.8%)など、特定用途に特化したAIツールの利用も拡大しており、ユーザーが目的に応じて複数ツールを使い分ける「マルチ活用構造」が定着しつつあるといえます。

企業のAI教育・サポート不足や現場の声無視のAI方針に不満の声も

会社のAI導入・活用方針に対する不満としては、「AI活用の教育・サポート不足」(19.9%)が多く、次いで「現場の実情に即した方針が決まっていない」(17.7%)が続き、導入フェーズから運用・定着フェーズへ移る中で、支援体制やリソース面での課題が浮き彫りとなっています。

一方で、「導入が遅すぎる」(9.8%)や「セキュリティを理由に制限している」(15.4%)といった回答も一定数見られ、企業全体ではスピードよりも慎重さを優先する傾向もうかがえます。

全体として、生成AI導入への理解は進んだものの、現場レベルでは「使いこなすための教育」や「トラブル時のサポート不足」など、実践運用を支える仕組みの整備が次なる課題となっているようです。

コメント

本調査では、ITエンジニアの中で生成AIの利用は業務の効率や生産性を高める手段としてごく当たり前のこととなっている様子がわかりました。

開発業務でAIを「活用している」と回答したエンジニアの割合は、2024年の29.3%から2025年には42.8%へと約1.5倍に急増し、「活用する気がない」層が12.2ポイントも減少したことで、AI活用が開発現場の「前提スキル」となりつつあることが示唆されます。

また、業務時間が「劇的に短縮された(4時間以上)」と回答した層は、2024年の10.2%から2025年には17.9%へと大幅に増加し、1.7倍近くに拡大。さらに、回答者の9割以上(93.7%)が生成AIに対し「期待通り」または「期待以上」の効果を実感しており、AIが生産性向上と品質改善をもたらす実用フェーズに移行したことが証明されました。

個人での活用が急速に進む一方で、企業側の体制には大きな課題があることも浮き彫りになりました。回答者の約2割が「AI活用の教育・サポートが不十分」であることに不満を抱いており、生成AIを全社的に普及させるための「運用支援の壁」が顕在化しています。

■調査概要

調査概要:ITエンジニアの生成AI活用に関する実態調査
調査方法:インターネット調査(QIQUMOを利用)
調査時期:2025年9月
有効回答:ITエンジニア222名

≪アンケート利用条件≫

1 調査結果は自由にご活用ください。但し情報の引用元として「ITプロパートナーズ」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、引用元として、下記リンクを設置してください。

URL:https://freelance-job.com/contents/news/%news_cat%/577/